養蚕・座繰りの紹介 能装束や小袖に使われていたようなみずみずしい刺繍糸を求めて
絹糸について
現在、国内で定められている繭の品質基準は5AからEまでの9段階があります。これは製糸工場の機械で繰りやすい事、織物用の糸としての優劣の基準で、刺繍糸としての良し悪しの基準ではありません。そのため流通している織物用の絹糸を刺繍糸にすると、どうしてもしっとり感が少なく毛ば立ちやすいようです。江戸時代などの小袖に使われていた刺繍糸は、歳月を超えても、糸に光沢や艶があり、糸の質感もふっくらしていて粘りがあります。紅会では小袖に使われていたような、艶のある糸で刺繍がしたいとの願いから糸づくりが始まりました。
刺繍糸になる為に生まれた絹糸
桑畑へのこだわり
5年前、九十九里浜に程近い恵まれた自然環境の敷地内に、桑畑をつくり除草剤、殺虫剤は使わず、堆肥を作り、耕運機や刈払い機で管理し、出来る限り有機農法にこだわり、良質な桑の葉がとれるように努力をしています。(2010年は地元養蚕農家より購入予定)

桑畑から桑の葉を運んでいるところ
自然飼育へのこだわり
【蚕は1齢から5齢までの幼虫期間があり、それから繭をつくります。】
一般的な飼育法
病気になりやすく手間のかかる2齢までは、専門の飼育所でブロック状の人工飼料で育てています。その後に各養蚕農家へ配られて桑の葉で飼育をしています。
紅会での飼育法
自然に近い飼育をするために、あえて1齢から人工飼料を使わず、桑の葉で飼育する方法をとっています。それは、とても神経を使う時間のかかる作業です。小さな蚕のアゴでも食べられるように、桑の枝の上にある新芽の柔らかい葉を採り、2ミリ幅位に包丁で刻み、小さな蚕達の上にかけると、待ちわびたように葉に上り食べ始めます。1日3回、時間をおいて与えます。また蚕が成長しやすい温度は1齢の時は28~27度で2齢、3齢と成長するごとに1度ずつ下げてゆきます。一日中その温度を保たなければならないので温度の低い時にはストーブなどで蚕室を暖めますが、暑すぎてもよくないので度々温度を確認します。また、湿度が低いと葉が萎れて蚕が食べなくなってしまう為、湿度を出来るだけ80%以上に保ちます。このように細心の注意を払っていなければ、健康な蚕が育たない為に気の抜けない期間を過ごします。
孵化した蚕に刻んだ桑のはを与え、飼育台へ掃き降ろしているところ。
現在日本の絹糸業界は輸入の自由化にともない、外国産の安価な繭や絹素材の普及、あわせて継承者不足によって衰退の一途をたどっています。しかし養蚕や絹糸づくりは、日本人が昔から自然と調和しながら受け継がれてきた、大切な仕事ではないかと紅会では思っています。今後ますます養蚕や絹糸づくりが少なくなっていくとおもわれますが、次の時代へと受け継がれてゆくような刺繍糸をつくりたいと願っております。

4齢蚕と、とれた繭から糸を挽いているところ
*現在は紅会工房と会員のみに使って頂いていますが近々、色見本を作り皆様へも使って頂く準備をしております。
